丁寧に、丁寧に。
慣れていない人ほど、「質」を求めたがる。おそらくそれは、「量」をこなすだけの自信がないからかもしれない。もしくは、「質」という言葉にスマートな魅力を感じるのかもしれない。
かくいう私も高校時代、「質」という言葉に魅了され、「量」をこなせない自分をカッコよく隠してきた、つもりだった。
典型的な思春期だ。
そんなある日、「質量転嫁の法則」という法則に出会う。この法則を端的に説明すると、「量をこなせば、質に変化する」ということ。個人的には、「質」に変化するのではなく、「量」をこなせば、土台ができ物事のポイントやコツがわかり、結果として「質」が上がる。のだと思うが、今は言葉の真意を求めている暇はない。
大学時代の私は、「質量転嫁の法則」に魅了され、部活で毎日毎日、何十キロという距離を走ることになる。結果として、「量」をこなすことにより、ある程度のレベルに達し、「質」も求めることができるまでになった。と今だから回想する。
こうなると人間は不思議なことに、「質」には目もくれず、「量」を求めるようになる。あれだけ、「質」に魅力を感じていた私はどこに行ったのだろうか。
求めすぎた「量」は、私に「怪我」というダメージになって返ってくる。しかし、歯止めが効かない私は、骨の一本にヒビが入ろうと、靭帯を損傷しようと、止まることはない。すると、土台である「量」が崩れ、「質」を失う。そして、また「質」を求め「量」をこなし、、、負の連鎖に入っていく。
人間関係にも同じことが言えるのだろうか。人間関係を構成する上で、たくさんのコミュニケーションを通して信頼関係が生まれる。信頼関係が強く結ばれた今、コミュニケーションの「量」をこなす必要はない。むしろ、過ぎたる「量」は、雑な人間関係となり、相互に不和を生む。
大丈夫。信頼関係は充分だ。これからは、丁寧に、丁寧に。人間関係をより深めていこう。
何事も最初は勇気が必要だ。