一勝一敗
今日は木曜日。
後一日頑張れば、今週も終わりだ。
それに明日は、大好きな人とご飯を食べに行く。そう、とっても大切な日だから。
20倍の倍率を勝ち抜いて入社した私が直面したその世界では、
20代は私一人だ。気軽に会話を出来る人は、正直いない。ほぼ全員が、父親母親のように年が離れている。
入社二年目。なかなか気を遣うことが絶えず神経をすり減らして生きている。
今日は、いつも遅くまで残っている上司たちが早々に退勤していく。
顔には出さないが、徐々に心が軽くなっていく。
その後に退勤する私の足取りも心なしか軽く感じた。帰宅後、運動公園までの道のりも、とても心穏やかなものだった。
いつものように練習をこなし、着替えをして車に乗り込んだとき、一通のメールが来た。
剣道の先生からだ。珍しい。何か予定の変更でもあったのかと不思議に思いメールを開いてみると。
そのメールには、別の先生が6段に合格したと、書いてあった。
すごい、すごすぎる。その合格した先生は、お年が70を数える。
その年齢でも、人間は成長することができるのか。
衝撃だった。
剣道は8段まである。8段は県に何人かしかいない。らしい。
となると、7段のすごさが想像をはるかに超えることは容易に分かる。
6段でさえ、人間を辞めないと取得できないかもしれない。
70で人間が成長する。
「生涯剣道」と言われる所以かもしれない出来事に遭遇した、貴重な一日だった。
私は、その年になっても自分のやりたいことを続けているだろうか。
剣道、ピアノ、ランニング。
きっと続けているうちは負けではない。辞めたときが負けなのかもしれない。
辞めたときが負けならば、私はもう全ての分野で、一回ずつ負けている。
この理論でいくと、
これから一生続けて、一勝一敗。
長い戦いだ。
続けることを辞めずに行こう。